【一人社長とAI従業員】提案書・企画書を Claude Code と作る:壁打ちで進める9つの工程
前号でお伝えしたとおり、今号から、実践編の担当業務のスキルファイル(1つの担当業務について、手順・参照する資料・任せる範囲・確認の方法を書いたファイル)を、1号に1つずつお配りします。
今回お配りするスキルの名前は「提案書・企画書作成スキル」(スキル名は proposal-writing)。提案書・企画書を、あなたと壁打ちしながら作り、自社のデザイン仕様に沿ったファイルに仕上げるまでを進めます。オフィス開設キットで作った AIオフィスがあれば、そのまま使えます。
このスキルの手順には、下書きを書き終えたところで、経緯を知らないサブエージェント(Claude Code が本体とは別に起動する Claude。これまでの会話の経緯を知らない)に、読む人の立場で批評させる工程があります。ODAJI の社内企画書を作ったときは、この工程で31件の修正点が見つかりました。
読まれる企画書にするための設計
すでに AI を使って提案書を作っている方も多いでしょう。ただ、速く作れるだけでは、読まれる提案書にはなりません。BtoB 商材の比較検討・発注に携わる担当者110名への調査では、AIで作られたと感じたコンテンツについて、49.1%が「問い合わせや資料ダウンロードをする気がなくなった」と答えています。AIっぽいと感じる要素の1位は「中身が薄く、調べればわかる内容しか書いていない」(53.6%)でした(出典:TWOSTONE&Sons/PR TIMES, 2026年)。この調査の対象は、広告や Web など業務で目にするコンテンツで、提案書に限った調査ではありません。それでも、提案書・企画書を読む人も、同じように中身の薄さに気づくと私は考えています。
私のテストでは、最初の依頼から Word の完成まで約37分でした。批評の工程で見つかった31件の修正点には、見直しの基準に事業の成果が入っていない、やめるという選択肢がない、代表が使う時間に根拠がない、といったものがありました。私が伝えていない役割の分担を下書きが書き加えていたことや、出典のない言い切りも指摘されました。サブエージェントは経緯を知らないので、書いた側が分かっているつもりで省いた根拠に気づけます。読む人に問われる前に、その答えを企画書に書き込むことができました。
速く・自社のデザインで・抜けなく作る、という AI の能力は十分に使います。ただし、要所はあなたが判断し、決め、指示します。この2つを組み合わせて、企画書を最後まで仕上げる設計です。
このスキルで目指すこと
- 読む人が「採用するかしないか」を決められる企画書にする
- あなたの言葉と、自社の材料(強み・実績・過去の提案の結果)から作り、材料にないことを推測で埋めない
- 社外への提案書・社内の企画書・あなたご自身の企画(出版の企画など)のどれなのかを最初に聞き、企画に合わせて進め方を調整する
- 自社のデザイン仕様に沿って、そのまま提出できるファイルに仕上げる
- 使えば使うほど、あなたの希望どおりに振る舞い、出力するようになる
1つ目の「決められる企画書」とは、読む人が判断に使う材料がそろっている企画書のことです。社外への提案なら、相手の課題を分かっているか、なぜ自社なのか、何を約束するか、費用。社内の企画なら、投じる時間とお金に見合うか、成功の基準、リスク、やめる条件。スキルは、企画書の種類に合わせて、こうした材料を集めます。まだ決まっていないものは「要確認」として残します。
5つ目は、仕事が終わるたびに、新しく分かった材料・デザインの設定・進め方の要望を、決まったファイル(材料のファイル・デザイン仕様・スキルファイル)に書き足していくことで実現します。Claude Code は、書き足す前にあなたの承認を求めます。役に立つと思ったら、承認してください。
ファイルの形式は、Word・PowerPoint・Excel などから選択できます。今回は、自社のデザイン仕様で Word をレイアウトするプログラム(作成と検査)まで同梱しました。PowerPoint を作るプログラムは、近いうちにプレゼン資料作成のスキルに同梱する予定です。待たずに作りたいときは、Claude Code に相談すれば、Word のプログラムを手本にして先に作れます。
企画書が完成するまでの9つの工程
- 最初の確認:Claude Code が用途・読む人・提出期限を聞き、あなたが答えて、進め方を決める
- 企画の内容:あなたが企画の内容を話し、Claude Code があなたの言葉を言い換えずに控える
- 足りない材料:Claude Code が足りない材料を1問ずつ聞き、あなたが答える
- 骨子:Claude Code が骨子を2〜3案出し、あなたがどの骨子で進めるかを決める
- 下書き:Claude Code が下書きを作り、あなたが壁打ちをして方向を決め、Claude Code と一緒に草案を仕上げる
- 批評:サブエージェントが読む人の立場で草案を批評し、あなたがどの指摘を採るかを決める
- 仕上げ:Claude Code が採った指摘を反映して中身を仕上げ、あなたが中身を最終確認する
- ファイル:あなたがファイルの形式と体裁を決め、Claude Code がファイルを作って検査し、できたファイルをあなたが開いて確認する
- 書き戻し:Claude Code が新しく分かったことを材料のファイルなどに書き足す案を示し、あなたが承認する
どの工程も、Claude Code と壁打ちしながら進めます。Claude Code が聞き、案を出し、作ります。あなたは答え、決め、承認します。この往復を工程ごとに重ねて、企画書を完成させます。たとえば工程6では、私は31件の指摘のうち、小さな1件を除いてすべてを採用しました。
工程8では、体裁もあなたの希望に合わせて変えられます。同梱のプログラムが最初に作る Word は、見出しを1色で整えた基本の体裁です。レイアウトに変化をつけたい、色を数色使いたい、図や画像を入れたい、といった希望を伝えれば、Claude Code が壁打ちしながらデザインの設定やプログラムを修正します。用意されたテンプレートの体裁に合わせる必要はありません。
ただし、Claude Code が作れるのは、流れ図やグラフのような図までです。イラストや写真は、画像を作る AI のようには作れません(出典:Anthropic ヘルプセンター「Can Claude produce images?」, 2026年)。必要なときは、ChatGPT・Gemini・Codex など画像を作れる AI で作り、保存したファイルの場所を Claude Code に伝えて、「この画像を、〇〇の節の下に入れてください」と依頼してください。
作業の途中で、Claude Code は、ファイルを書き込んだりコマンドを実行したりする前に、許可を求める画面を表示します。auto モード(Claude Code が操作のたびに確認を求める代わりに、組み込まれた安全確認の仕組みが、危険そうな操作だけを止める設定)を選択していない場合、私のテストの記録では、1本の企画書でおよそ10回です。ファイルの書き込みやコマンドの実行が多くなれば、そのぶん増えます。
準備と使い方
スキルファイルは、次のページからダウンロードできます。
https://github.com/kojiroo2025/odaji-skills/releases/tag/ai014
ダウンロードしたあとの手順は、次のとおりです。
- エクスプローラーで「ダウンロード」フォルダを開き、ダウンロードした ZIP を右クリックして、「すべて展開」を選択します。
- 展開してできたフォルダを開き、中にある .claude・Programs・Shared_Assets の3つのフォルダを、AIオフィスのフォルダ(CLAUDE.md があるフォルダ)にコピーします。同じ名前のファイルがあると表示されたら、「ファイルをスキップする」を選択し、Claude Code に「同じ名前のファイルがあります。どうすればよいですか」と聞いてください。
- 展開したフォルダにある説明書(「はじめにお読みください」)を開き、Python(プログラムを動かすためのソフト)と、Word を作るための部品(python-docx)を、1回だけインストールします。
説明書には、ほかの手順や、うまくいかないときの対処も書いてあります。説明書は、HTML のファイルと、同じ内容のテキストファイル(.md)の両方を同梱しました。HTML のファイルには、開いただけで動くプログラム(スクリプト)や、外部のサイトから画像や文字を読み込む記述を入れることができますが、今回の説明書には、どちらも入っていません。開いても文章と図を表示するだけで、出典などのリンクは、クリックしたときだけ開きます。心配な方は、Claude Code に「このHTMLファイルに、スクリプトや外部から読み込む記述が入っていないか確認してください」と依頼するか、テキストの説明書をお使いください。同梱の Word のプログラムも、Word の作成と検査だけを行い、外部と通信しません。
準備ができたら、Claude Code に次のように話しかけてください。
「〇〇社に、〇〇の提案書を作りたいです。読む人は〇〇部長で、期限は〇月〇日です。」
あとは、Claude Code の質問に答え、要所で判断していきます。
自社に合わせた育て方
お配りしたスキルは、どの会社でも使えるように汎用的に作っています。使ってみて不満な点があれば、Claude Code と対話してスキルを修正し、自社の仕様やご自分のやり方に合わせていってください。
自社の強みや実績の情報をデータベースに蓄えておくと、提案に使える材料が増えます。その作り方は、近いうちに取り上げます。
次回の予告
次回は、商談の事前準備(相手企業の調査と、確認したい質問の整理)を取り上げます。
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